キャリアパスや待遇


公衆衛生医師イメージ

 全国の都道府県や、政令市・中核市と呼ばれる地域の中核となる都市においては、地域保健法に基づいて保健所を設置することが定められています。また、保健所長は原則として医師であることも定められています。

 そのため、多くの公衆衛生医師の勤務先は保健所ということになりますが、そのほかにも、例えば政令市などでは市民に身近な保健サービスを提供するための保健センター、都道府県では都道府県庁の医療・保健政策を担当する部局など、医師としての資格だけではなく、その知識や経験などが活かせる場所が勤務先となります。

 各自治体に就職した後のキャリアパスは、自治体によってバリエーションがあり、また採用される年数(医歴)によっても異なります。臨床研修終了直後に公衆衛生医師として自治体に就職した場合は「技師級」として採用され、保健所や本庁と呼ばれる都道府県庁などで経験を積んでいきます。その後、実務経験や各種研修などを経て「係長級」「課長補佐級」へと昇進し、早くて40歳前後で管理職である「課長級」となって、保健所長や本庁の課長となります(階級名等は自治体によって異なります)。

 臨床など他分野の経験を積んでから就職する医師の場合は、その経験年数等に応じて「係長級」「課長補佐級」として採用され、一定の実務経験や研修などを経て「課長級」に昇進していきます。その後は、本人の資質に応じて「次長級」「部長級」へと昇進し、自治体の幹部職員として働くこととなります(自治体によっては、30歳前後で保健所長になるために課長級以上に昇進する場合もあります)。

 公衆衛生医師の待遇については、病院等医療機関に勤務する医師に比べると年収は決して高くはありません。一例として、30歳前後の技師級で年収約800万円前後、35歳前後の係長級で約950万円前後、37歳前後の課長補佐級で約1050万円前後、45歳前後の課長級で約1300万円前後、50歳前後の次長級で1400万円前後が目安となりますが、実際には各自治体によって様々です。やりがいやワークライフバランス等を考えて、公衆衛生医師を選択する場合が多いようです。

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